広く国際的に活躍されたお父様が急逝され、まだ悲しみの中にいらっしゃるお嬢様からのご依頼でした。
学究的活動、そして音楽の趣味を通じ、日本および世界各国でお父様が御懇意にされていた方々からの弔辞や追悼のお手紙をそれぞれ和訳、そして英訳し、一冊の文集としておまとめになる際の翻訳でした。
各国から寄せられるお手紙から、お父様の国内外の評価の高い研究業績、そして皆様から慕われていらしたお人柄を知ることができましたが、翻訳の過程でそれ以上に伝わってまいりましたのが、ご家族のお父様に対する強い思いでした。
それゆえ、訳に対しても、一言一句へのこだわりを持っていらっしゃり、それにお応えすべく、翻訳者も誠心誠意をもって対応させていただきました。
通常、誤訳以外の修正作業は1回のみの対応とさせていただいておりますが、作業を中心になって行っていらしたお嬢様が当時はパソコンを使用されていなかったので、文章を打ち込む作業も含み、何度も何度も修正を重ね、やっとご満足いただくことができ、その過程で、翻訳スタッフも一つ一つの言葉のもつ重みを学ばせていただきました。